素行調査の費用は、調査員の人数×稼働時間×難易度×経費でほぼ決まります。公開料金表では調査員2名で1時間あたり1.5万〜2.5万円前後の表示が多く、1日6時間を3日行えば30万円前後が一つの目安。金額の妥当性は探偵業法第8条の書面で確認できます。
この記事でわかること
- 素行調査の費用は「人数 × 時間 × 難易度 × 経費」の4変数でほぼ決まる
- 目的別・期間別の料金の目安レンジと、金額差が生まれる理由
- 時間制とパック料金のどちらが得になるかの分かれ目
- 探偵業法第8条が事業者に義務づけた見積書面の記載項目
- 素行調査でも依頼できない領域(差別につながる調査・違法な手段)
公的情報源: 探偵業の業務の適正化に関する法律・e-Gov法令検索/警察庁「令和7年中における探偵業の概況」/消費者ホットライン188・消費者庁
結論を先に書きます
素行調査の見積額は、調査の「名前」ではなく稼働の量で決まります。同じ「素行調査」でも、調査員2名で6時間の依頼と、3名で3日間の依頼では金額が3倍以上変わります。
だから相場表を眺めるより、自分の依頼が何人・何時間になるかを先に見立てるほうが早い。そのうえで見積書の内訳を照合すれば、高いか安いかは自分で判断できます。
- 費用の骨格は4変数:調査員の人数・稼働時間・難易度・実費(車両/機材/報告書)
- 目安は1時間あたり1.5万〜2.5万円前後(調査員2名の公開料金表に多い表示)
- 短期集中なら時間制、日数が読めないならパックが損をしにくい
- 金額の根拠は書面で確認できる(探偵業法第8条第1項第7号=概算額と支払時期の説明義務)
素行調査とは何か|探偵業法における位置づけ
素行調査とは、特定の人物の行動や生活の実態を一定期間確認し、その結果を依頼者に報告する調査です。
探偵業法第2条は探偵業務を「面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その結果を依頼者に報告する業務」と定義しています。素行調査は、この定義の中心に位置する調査です。
つまり素行調査は、浮気調査や人探しと別枠の特別なサービスではありません。手段(尾行・張込み・聞込み)は共通で、何を明らかにしたいかという目的が違うだけ。ここを理解すると、料金体系が調査種別ごとにあまり変わらない理由も見えてきます。

素行調査が選ばれる代表的な場面
依頼の入り口は、おおむね次のように分かれます。
素行調査が依頼される主な場面
| 依頼の場面 | 知りたいこと | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 配偶者・交際相手の行動確認 | 平日夜・休日の行動と同行者 | 1〜3日(曜日を絞る) |
| 同居家族の生活実態の確認 | 通学・通勤先、帰宅までの行動 | 1〜2日 |
| 従業員の勤務中の行動確認 | 就業時間中の所在と業務実態 | 1〜3日 |
| 高齢の家族の見守り | 日中の行動範囲と交友関係 | 1〜2日 |
いずれも、期間を絞れるほど費用は下がります。逆に「いつ動くか分からないので任せたい」という依頼は、稼働時間が読めず高額になりやすい構造です。
浮気調査との違い
浮気調査は、素行調査のうち不貞の事実を裏づける証拠の取得に目的を特化させたものと考えると分かりやすくなります。
証拠として意味のある写真(建物への入退室が同一人物と分かる連続写真など)が求められるぶん、待機時間が長くなり、結果として費用も上がりやすい傾向があります。浮気調査に絞った費用の考え方は、次の記事で詳しく整理しています。
素行調査の費用相場|目的別・期間別の目安
素行調査の費用は、調査員2名で1時間あたり1.5万〜2.5万円前後の表示が公開料金表では多く見られます。ここに車両費・機材費・報告書作成費などの実費が加わる形が一般的です。
以下は、公開されている料金表から読み取れるレンジを、期間別に整理したものです。事務所や地域によって幅があるため、上限・下限のどちらに寄るかは見積もりで確認してください。
素行調査の費用レンジ(調査員2名・実費込みの目安)
| 依頼の規模(2026年時点の目安) | 稼働の目安 | 総額の目安 |
|---|---|---|
| 1日だけ・時間を絞る | 4〜6時間 | 8万〜18万円 |
| 平日と休日を各1日 | 計10〜12時間 | 20万〜35万円 |
| 3日程度の継続調査 | 計15〜20時間 | 30万〜55万円 |
| 1週間規模の長期 | 計30時間以上 | 60万〜100万円超 |
金額の幅が大きいのは、都市部と地方で移動コストが変わり、対象者の警戒度で必要な人数も変わるためです。同じ「3日」でも、車での移動が多い対象なら車両2台体制になり、費用は跳ね上がります。
相場表を鵜呑みにしない
インターネット上の相場情報は、集計方法も対象もばらばらです。数字が一人歩きしやすいので、自分の依頼条件に引き直して考えることが欠かせません。
判断の軸はシンプルです。「調査員は何名か」「1日何時間か」「何日か」「実費はいくらか」。この4つが書面で示されない見積もりは、金額の高低を論じる以前に比較ができません。

費用が決まる4つの変数
ここが費用理解の核心です。素行調査の請求額は、次の4つの掛け算でほぼ説明がつきます。
- 調査員の人数(原価の中心)
- 稼働時間(待機時間も含む)
- 難易度(対象の警戒度・移動手段・地域)
- 実費(車両・機材・報告書・交通費)
1. 調査員の人数
素行調査は2名体制が基本です。徒歩と車両の切り替え、対象者が建物に入った際の出入口の分担など、1名では追い切れない場面が必ず出てきます。
「1名で安くできます」という提案は、金額だけを見れば魅力的です。ただし対象を見失えば再調査になり、結果的に総額は増えます。人数は削りどころではなく、成功確率を買っている部分と考えてください。
2. 稼働時間
課金の対象は、対象者を追っている時間だけではありません。張込みの待機時間も稼働です。
「20時に帰宅するはずが23時だった」という日は、3時間分がそのまま加算されます。時間制を選ぶなら、この上振れをどこまで許容するかを事前に決めておく必要があります。
3. 難易度
対象者が警戒している、車で長距離を移動する、繁華街で人混みに紛れる。こうした条件は、必要な人数と機材を押し上げます。
過去に一度尾行が発覚している場合は、難易度が明確に上がります。その事実は隠さず伝えたほうが、結果的に安く済みます。
4. 実費
車両費・機材費・報告書作成費・交通費などが該当します。「基本料金は安いが実費が青天井」という契約が、後のトラブルで最も多い型です。
実費は上限額を書面で確定させるのが原則。上限のない実費項目があるなら、その場で理由を確認してください。
見積書で必ず確認する4項目
探偵業法は、契約前に費用を含む重要事項を書面で説明することを事業者に義務づけています(第8条第1項)。同項第7号は「探偵業務の対価その他の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額及び支払時期」を明示するよう定めています。
つまり、概算額と支払時期が書面にないのは法律上の義務違反です。口頭説明だけで契約に進む事務所は、この一点で候補から外して構いません。
見積書面でチェックする4項目
| 確認項目 | 見るポイント | 不足しているときの質問 |
|---|---|---|
| 調査員の人数 | 「2名」と数が特定されているか | 「〇名以内」の上限表記なら実際の想定人数は? |
| 稼働時間の単位 | 1日あたりの時間と最低稼働時間 | 待機時間は課金対象か? |
| 実費の内訳と上限 | 車両・機材・報告書が個別に立っているか | 実費に上限はあるか? |
| 追加費用の発生条件 | どんなときに、いくら増えるか | 延長は誰の判断で決まるか? |
警察庁の「令和7年中における探偵業の概況」によると、令和7年中に公安委員会が探偵業者に行った指示は19件でした。内訳には書面交付違反4件・書面受理違反2件・実施原則違反2件が含まれます。
届出数が7,354営業所という規模に対して、処分件数そのものは多くありません。ただし行政処分の理由が書面まわりに集中しているという事実は、契約前にどこを見るべきかを示しています。
契約条項をさらに細かく読み解きたい場合は、次の記事も参考にしてください。
時間制とパック料金、どちらを選ぶか
料金プランの選択も、総額を左右します。判断の軸は「日時を絞り込めているかどうか」の一点です。

時間制が向くケース
対象者が動く曜日・時間帯にすでに見当がついているなら、時間制が有利です。使った分だけの支払いで済み、短時間で終われば費用も小さく収まります。
一方で、想定より対象者の行動が遅れると、その分がそのまま上乗せされます。上限時間を契約で決めておくと安心です。
パック料金が向くケース
いつ動くか読めない、複数日にまたがりそう。この場合はパック料金のほうが1時間あたりの単価が下がり、総額が読みやすくなります。
注意点は、使い切れなかった時間の扱いです。繰り越せるのか、返金されるのか、契約書で確認してください。プラン別の詳しい比較は次の記事にまとめています。

素行調査で依頼できないこと
費用の話と同じくらい大切なのが、そもそも頼めない領域があることです。ここを知らずに依頼すると、断られるか、応じる業者のほうが問題を抱えていることになります。
探偵業法第6条は、この法律があるからといって他の法令で禁止・制限されている行為ができるようになるわけではないと定めています。加えて、人の生活の平穏を害するなど個人の権利利益を侵害しないよう求めています。
依頼できない・応じてはいけない調査
| 依頼内容 | 問題になる点 |
|---|---|
| 対象者の車へのGPS無断設置 | 所有者に無断の設置はストーカー規制法などに触れうる |
| 住居・事務所への立ち入り | 建造物侵入にあたる |
| 戸籍・住民票の不正取得 | 正当な理由のない取得は法令違反 |
| SNS・メールへの無断ログイン | 不正アクセス禁止法に触れうる |
| 出身地・国籍・門地などの調査 | 差別につながる調査で、探偵業法第7条・第9条第1項の趣旨に反する |
とくに最後の一行は見落とされがちです。探偵業法第7条は、契約時に依頼者から「調査結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面」の交付を受けることを事業者に義務づけています。さらに第9条第1項は、結果がそうした違法行為に用いられると知ったとき、業務そのものを行ってはならないと定めます。
「素行を知りたい」という動機であっても、出身地や家族の属性を調べる依頼は受けられない。この線は法律で引かれています。
依頼前に費用を下げる準備
最後に、依頼者側でできることを整理します。費用の主因が稼働時間である以上、時間を短くする情報を渡すことが最も効きます。
- 対象者の勤務先・帰宅ルート・使用する交通手段をまとめる
- 行動が変わる曜日・時間帯の心当たりを整理する
- 最近の写真と、当日着ていそうな服装の特徴を用意する
- 知りたいことを一つに絞る(行動の把握か、証拠の取得か)
- 複数の事務所から同条件で見積もりを取る
とくに4番目が重要です。「行動を知りたい」と「証拠を残したい」では必要な稼働がまったく違います。目的を一つに絞るだけで、見積もりが数十万円変わることも珍しくありません。
よくある質問
素行調査の費用について、相談の場で繰り返し出る疑問を整理します。
Q1:素行調査の費用は1日でいくらかかりますか?
調査員2名で4〜6時間の依頼なら、実費を含めて8万〜18万円前後が公開料金表から読み取れる目安です。ただし対象者が車で長距離を移動する場合や、繁華街で見失うリスクが高い場合は人数が増え、金額も上がります。日額だけで比べず、何名で何時間の想定かを必ず見積書で確認してください。
Q2:素行調査と浮気調査で料金は違いますか?
料金体系そのものは大きく変わりません。どちらも尾行・張込み・聞込みという同じ手段を使うためです。ただし浮気調査は証拠として使える写真を押さえるまで待機するぶん稼働時間が伸びやすく、結果として総額が高くなる傾向があります。
Q3:見積もりが「〇名以内」と書かれていました。問題ありますか?
上限だけの表記では、実際に何名で動くのかが確定しません。人数は費用の中心なので、想定人数を明記してもらうよう求めてください。応じない場合は、他の事務所と比較したうえで判断するのが安全です。
Q4:料金を安くするために調査員を1名にできますか?
事務所が可能と判断すれば選べる場合もありますが、推奨できる削り方ではありません。徒歩と車の切り替えや建物の出入口の分担ができず、対象を見失えば再調査となって総額は増えます。削るなら人数ではなく、調査日時を絞って稼働時間を減らすほうが確実です。
Q5:相手の出身地や家族のことも調べてもらえますか?
依頼できません。探偵業法第7条は、調査結果を違法な差別的取扱いに用いない旨の書面を依頼者から受け取るよう事業者に義務づけており、第9条第1項は違法な目的に用いられると知った場合に業務を行うことを禁じています。出身地・国籍・門地などを対象とする調査は、この趣旨に反します。応じる業者があれば、その事務所自体を避けてください。
まとめ:金額は「稼働の量」で決まる
素行調査の費用を見極めるポイントを、最後に整理します。
- 費用は人数 × 時間 × 難易度 × 実費でほぼ説明できる
- 目安は調査員2名で1時間1.5万〜2.5万円前後(実費は別枠で上限確認)
- 日時を絞れるなら時間制、読めないならパック
- 概算額と支払時期の書面説明は法律上の義務(探偵業法第8条第1項第7号)
- 差別につながる調査・違法な手段は依頼できない(同法第6条・第7条・第9条)
相場表は出発点にすぎません。自分の依頼が何名・何時間になるかを見立て、書面の内訳と突き合わせる。この手順を踏めば、提示された金額が妥当かどうかは自分で判断できます。焦って1社で決めず、同じ条件で複数社に当たってください。
事務所の選び方全体は次の記事で整理しています。
※本記事は探偵業法および公的機関の公表資料をもとにした一般的な整理であり、個別の事務所の料金・適法性や個別事案の結論を保証するものではありません。掲載した金額は公開されている料金表から読み取れる目安で、実際の費用は条件により異なります。契約・料金トラブルは消費生活センター(消費者ホットライン188)へ、法的手続きは弁護士など有資格者へご相談ください。
